吉祥のスタッフが蔵元を訪ね、酒造りの現場や造り手をご紹介いたします。
秋田県五城目町にあります、福禄寿酒造の渡邉康衛社長さんをお招きいたしました。最近特に注目されているお酒、「一白水成(いっぱくすいせい)」でお馴染みの蔵元さんです。

渡辺さんは、2002年に東京農業大学醸造学科を卒業してすぐに蔵に入られました。、当時は地元秋田向けに普通酒・本醸造のみを造る何の変哲もない、ごく普通の蔵でした。(渡邉さん失礼!)入蔵後、地元の酒屋・問屋を中心に営業活動をされていましたが、品質や商品価値よりも値引やリベートに頼った商売に疑問を感じられたそうです。そこで渡辺さんは、高品質なお酒を顔の見える酒販店さんへ直接卸すべく、社内改革を断行しました。造り・火入れ・貯蔵・流通など、全く新しい試みに、古い慣習にとらわれた蔵人との摩擦が生じ、実際に一部の蔵人の入れ替えも行われたようです。そして2004年、新しい門出の証として、社名をそれまでの㈱渡辺彦兵衛商店から福禄寿酒造㈱へ変更し、渡辺さんが代表取締役社長に就任しました。そして2006年、待望の新しいお酒、「一白水成(いっぱくすいせい)」がデビューしました。早い時期からメディアなどでも取り上げられたこともあり、その人気はうなぎのぼりで、その名のとおり「彗星の如く表れた」と形容されています。渡邉さんが目指す酒質は、「お米の旨味を十二分に発揮した酒造り。甘味と旨味のバランスが取れ、嫌味のない酸味でキレる酒」とのことです。近年では原料米の品質向上にも力を入れ、五城目町酒米研究会を発足されました。地元農家さんと意見・情報交換を交わしつつ、出来上がった酒米の成分データを公開して、より高品質な酒米の確保に努力されています。秋田の期待の星、一白水成の今後の更なる成長に、目が離せません。

DSCN3436.jpgピンクのシャツを着て立たれているのが渡辺さん。確か32歳?と、おっしゃっていたそうな。若いです!

(山形の楯野川酒造の佐藤 淳平さんと東京農大の同期生とのことです)

 

 

 

 

 

DSCN3437.jpg注目の一白水成シリーズ。全体的には香りは程良い程度で、芳醇な旨味が特徴です。一番右から、特別純米、熟れた果実のようです。2番目、純米吟醸美山錦、ややすっきりした感じ。3番目、純米大吟醸、それらしい華やかな香り。4番目美郷錦、酸は少なく、若干苦味あり複雑。4番目雄町。シャープ・鋭い。酸で切れます。美郷錦が苦味ありとマイナス的表現となっておりますが、料理と合わせる、グラスに注いでしばらく放置する、抜栓後数日経ってから飲む、も少し熟成させる、といった工夫をすれば問題なく飲めます。

 一白水成よろしくお願いします!

 

 和歌山県岩出市にある九重雑賀さんは、明治41年食酢を造る蔵として創業しました。原料にはお酒を造る際の副産物である、酒粕を用いていますが、「より良い食酢を製造するのには主原材料である酒粕から一貫して製造すべきである」という考えから昭和9年、日本酒の製造を開始しました。和歌山県といえば醤油の発祥地として、また押し寿司・なれ寿司などの独自の食文化を築きあげた発酵王国。これらの地元食材を豊かに使った料理にとてもよく合う日本酒として各種品評会をはじめ、全国の地酒専門店や著名な割烹料理店などで高い支持を得ている人気銘柄に成長しています。また和歌山の特産物である梅を使用した、日本酒ベースの梅酒も大人気です。今でこそ日本酒ベースの梅酒は増えてきましたが雑賀さんはその先駆的存在で、梅酒用にアルコール20度の原酒を造り、原料の梅の実は冷凍にすることでエキス分を多く抽出するなど、梅酒造りでも独特の拘りを持たれています。蔵元代表の雑賀 俊光さんは、元ジュニアフライ級のプロボクサーの経歴を持つスポーツマンですが熱血感溢れる反面、人への気配り、心配りがとても上手な誠実で優しい方です。(昨年ご結婚されました)また雑賀家は、戦国時代に織田信長軍が攻めてきた際、鉄砲の連続発射により散々に打ちのめし、これを撃退して活躍したとされる雑賀衆を率いた、雑賀 孫市の末裔でもあります。(後の長篠の戦いは、これを手本にしたとされます)歴史・文化のある和歌山の地で先祖が夢見た心意気を製品に託し、全社一丸となって日本酒・梅酒・食酢・ぽん酢・調味酢・を醸しています。

  酒粕を約1年発酵させる木桶です                         仕込みの木桶です
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           白い膜は酢酸菌。創業時より継ぎ足しで使っています         雑賀俊光社長(中央)と蔵人さん

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   梅酒蔵です                                      トレッサ横浜店でのイベントにて

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                   試飲販売にお越しいただいた雑賀さん           雑賀さんと飲んじゃいました

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雑賀さんのお酒です。右から順に

雑賀吟醸(熟れた果実のようです)

雑賀純米吟醸五百万石(バランスよく軽快)雑賀純米吟醸雄町(ふくよかだが切れ味抜群)

Saika twelbe 純米吟醸(アルコール12度なのに薄っぺらくありません。コロッケとよく合いました)

店内で見かけたら是非ゲットして下さい。

食事に合うお酒は、お酒も料理もすすみます!

 

 

 

 

 

 

 

茨城県石岡市にある、府中誉酒造さんに行ってきました。地元が中心の「府中誉」、濾過前取りシリーズでお馴染みの「太平海」、復活栽培米を使用した吟醸酒「渡舟」の3銘柄のお酒を造っています。製造量約500石(一升瓶換算5万本)で小さな蔵元ですが約8割が地元で消費され、県外にはほとんど出荷されていないとのことです。(横浜では当店のみ、川崎でも2件のみです)原料米は地元茨城産の契約栽培米五百万石の他、平成2年より、一度栽培が途絶えた「渡船」(山田錦の親に当たります)を復活させ、山田錦とは違う独特の味を生み出しています。平成8年には全国新酒鑑評会で金賞に輝いていますが、山田錦以外の酒米ではほとんど例がないそうです。平成12年より代表の山内 孝明さんが杜氏として酒造りの責任者となり、茨城の気候、大地、水の恵みを糧に茨城が誇る真の地酒を造り続けています。

DSCN1341.jpg縦型精米機です。精米は他社に委託せず、自家で行っております。500石規模の蔵で自社精米はたいへん珍しいとのことです。(コストがかかるのです)

精米歩合(お米を削り落とす割合)にもよりますが、2日から3日かけて精米します。

 

 

 

 

DSCN1342.jpg精米して削り落とした「糠」です。お米の中心部近くまで削るので白いのです。「糠」というより「米粉」ですね。主に煎餅などの米菓の原料として使われます。

 

 

 

 

 

 

DSCN1344.jpg酒米を蒸す「甑(こしき)」です。今期は酒米の蒸しは終了しました。

 

 

 

 

 

 

DSCN1351.jpgのサムネール画像仕込みタンクです。

 

 

 

 

 

 

 

DSCN1348.jpg仕込みタンクの中の醪です。

 

 

 

 

 

 

 

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醪を飲ませていただきました。甘酸っぱく、ピチピチしていてお米の粒もあります。日本酒度でいうと-15位だそうです。この後更に発酵が進むと糖分が分解されてだんだん辛口になっていきます。

 

 

 

 

DSCN1350.jpg「槽場(ふなば)」といって、お酒を搾るところです。ステンレスの箱のようなもが槽(ふね)というもので、この中に袋に入れた醪を積み重ねていき、その重みでしたたり落ちてくるのを集めて酒になるのです。

 

 

 

 

 

DSCN1355.jpgまるで古民家のような応接間です。

 

 

 

 

 

 

 

DSCN1359.jpg利き酒もしました。右が渡舟純米大吟醸。絹のような優しく上品な味わいです。真ん中は渡船ふなしぼり純米吟醸。味のが膨らみはこちらが豊か。左は太平海純米おり絡み。まだ瓶詰めされたばかりだそうで、滑らかな舌触りが印象的です。どれもお米本来の旨味をしっかり活かした、存在感のある味わいです。

 

 

 

 

DSCN1363.jpg最後に杜氏の山内 孝明さんと私。熱意のある方ですが、だからからこそ「渡船」の復活栽培も成功したのだと思います。また杜氏制を廃止したことは、それまで短期間で集中的に造っていたので無理が生じていたものを、期間を延ばし、その分ゆとりを持つことができたので、丁寧に造れるようになったとのことでした。お酒のみならず、従業員や取引先、そしてこの茨城への愛着を強く持たれているのがよく伝わりました。これからも美味しいお酒造り続けて下さい。楽しみにしています。

 

 

 

宮城県の最北端、栗原市金成町にある萩野酒造さんの清酒「日輪田(ひわた)」が入荷しました。宮城県出身のスタッフ国見が直接蔵元へ訪問し、お取引させていただくことができました。

DSCN0856 (2).JPG蔵元の佐藤 曜平さん(右)と当店スタッフ国見 亜紀子(左)。                            夏は自営田で酒造好適米の「美山錦」や宮城の新しい酒造好適米「蔵の華」を栽培するかたわら、冬は杜氏として酒造りに励みます。                   

佐藤さんの目指す酒は、「酒自体の主張は控えめで、料理を引き立てる縁の下の力持ち的存在」であるとのことです                       

穏やそうな外見とは裏腹に、熟成して旨くなる、腰の強いしっかりした酒を造ります。

 

 

IMGP0617.JPG日輪田のラインナップです。名前の由来は、「お日様」と「田んぼ」の恵みが「輪」となって皆で楽しもうという想いを込めて命名されたそうです。

左から

日輪田美山錦60純米                                                 1800ml ¥2500(税込み¥2625)                        720ml ¥1250(税込み¥1312)

日輪田山田錦65純米                 1800ml ¥2800(税込み¥2940)        720ml ¥1400(税込み¥1470)

日輪田美山錦50純米吟醸       1800ml¥3000(税込み¥3150)  720ml¥1500(税込み¥1575)

山田錦は特有のお米の旨味が見事に感じられます。美山錦は繊細でややすっきり系です。硬い酒質のため味が開いてくるのに時間がかかりますが、しっかりした酒質によくある特徴です。栓を開けて数日経過して忘れた頃に飲むと、「うぉ~」と唸るような味わいです。

 

photo2[1].jpg酒造りは日本の田んぼを救う

米から造られる日本酒=純米酒は、飲んで美味しいだけではなく、日本の田んぼを守り、救うことのできる酒だと思っております。飲み手としては米の味をしっかりと感じ取ることができる深い味わいが魅力であり、造り手としてはごまかしがかず、常に真剣勝負であるところが魅力です。また当蔵では杜氏制に頼らず、全て地元の蔵人地元自らの手で酒造りを行っております。宮城県北部の寒冷な気候、山と田んぼに囲まれた豊な自然、蔵から程近い山から汲み上げる豊かな湧水など、恵まれ環境の中で地元の米、水、人で丁寧に人の手をかけた手造りの酒を醸しています。

 

2009年3月某日、埼玉県蓮田市の神亀酒造さんへ訪問しました。横浜を朝4時すぎ位に出て、高速道路を飛ばして蔵に着いたのは6時頃。かなり早く着いたつもりでしたが、すでにお米が蒸しあがっているところでした。

DSCN0559.jpgお米が蒸しあがって、スコップでかきだしているところです。機械を使っているわけではないのでかなりの重労働です。

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蒸しあがった酒米です。阿波(徳島産)山田錦の60%精米(外側40%を削り落とす)で、ひこ孫純米に使用されます。

神亀酒造さんはその昔、「安くて売れる酒を造れ」というお国の言うことを聞かず、当時は高くて売れない純米酒を造り続けました。そのおかげで、お国からは、「神亀のところへはいい酒米はまわすな」、と相当の圧力をかけられ、いわゆる「クズ米」ばかりがまわされてきました。(当時はまだお米は自由に売買できなかったのです)そこである人のつてを伝って、徳島県の吉野川上流域で造られている山田錦を手に入れることができるようになったのです。

 

 

DSCN0563.jpgお米の蒸しあがりを見ていると、奥から蔵元の小川原専務が来られて、お米を木の板で揉んで「ひねり餅」を造っていただき、「あとで焼いて食え」と言って渡されました。
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これがひねり餅!

お米の味が凝縮した感じでこのままでも美味しかったです。

 

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本日蒸されたお米は「麹米」として麹造りに使われ、麹室に運ばれてから、麹菌が振り掛けられます。

 

 

 

 

 

DSCN0572.jpg麹菌を振りかけてからまんべんなく酒米に行き渡るよう、何回もほぐします。

できあがった麹米

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酒母室といって、小さな酒母タンクで酵母を育て                               酒母タンクの中です。

ます。

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仕込みタンクの全景です。タンクの本数は思ったより少なめです。

DSCN0589.jpg仕込みタンクの中の醪の様子。小さな泡がプツプツ沸いています。(画像ではわかりづらいかもしれませんが・・・・)

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DSCN0595.jpg酒槽といって、お酒を搾るところです。神亀酒造さんでは、圧力をかけず、自然の重みで約3日間かけて搾ります。

醪の入った酒袋をアルミ板の間にはさみ、醪の自重のみでお酒が搾りだされます。

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いわゆる「槽口(ふなくち)」で、まさにお酒が搾りだされているところ。

 

これを直に瓶詰めしたのが「上槽中汲み」という商品名で発売されています。本来であればここで飲んでみたいものですが、今回は車で来たので飲めませんでした。残念・・・。

 

 

 

               

DSCN0606.jpg続いてお米洗い。小川原専務が開発した、自動洗米機できれいにお米が洗われていきます。


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ストップウォッチを使い、秒単位でお米に水を吸わせます

 

 

DSCN0618.jpg小川原専務とのツーショット。嫌がるのを無理やり撮らせていただいたので少々ふてくされています。(けっこうかわいかったりします)お忙しいのに丁寧に蔵内を案内していただきました。ありがとうございました。

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朝食も頂きました。とても美味しかったです。

 ご馳走様でした(満足!)

 

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神亀酒造さんの全景です。

 

とても酒蔵とは思えません。看板も無ければ門もありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

DSCN1032.jpg今回訪問した際に蒸されていたお米「阿波山田錦60%精米」が使われている、「ひこ孫純米」。

私がお酒に目覚めるきっかけになったお酒です。決して綺麗なお酒ではなく、現代的なお酒でもありませんが、押し寄せてくるようなお米の旨味。主張が感じられるというか、造り手の魂が感じられるというか。良くも悪くも、影響力のあるお酒だと思います。このお酒を冷やで飲んでも、その良さはわからないと思います。

 

 

このお酒の一升瓶にかけられている首賭けタグには、「このお酒は人生の機微がわかる35歳以上の人に飲んでもらいたいお酒です」と書かれています。

右の盃に記されているのは、酒造界の生き字引といわれた、故上原 浩さんお言葉です。「酒は純米、燗ならなお良し」このお酒にぴったりのお言葉です。

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新潟・魚沼地方は皆様ご存知のこしひかりの銘産地です。
この地方の小出にある緑川酒造が今回ご紹介する蔵元です。

 

私が緑川と出会ったのは今から17年前のことです。
それまでKISSYOの清酒は酒問屋さんから仕入してました。
私の両親が新潟出身であったこともありましたが、新潟に新しい蔵をつくり新しいブランドを立ち上げたという情報が入ってきます。 緑川は小出の街の一角にありました。
しかし、よりよい酒づくりを目指し街から離れた周りが田圃だらけの中に蔵をつくります。
そうです、よりよい水質を求めてです・・・。  

その後、現在の社長である大平さんが新しい販売基準を決めました

それは、全国どこの百貨店でも、スーパーでも一切販売せず、きちんとしたこだわりを持った専門店しか販売しないと・・・・  

私はその方針に魅かれ新潟・小出に行くこと五回!
しかし、中々取引契約には至りませんでした。その後も、幾度となく新潟へそして・・・・  

結果、横浜では最初の特約店となり今では強い信頼関係となり販売しております。  

熱燗に最適な酒「正宗」緑川を代表する酒「雪洞貯蔵緑・生」は全国特約店の中でKISSYOは取り扱い日本一となりました。  

酒も香りが高いタイプでなく、あくまで食事をしながら楽しむ酒として飲み飽きしない柔らかい味わいが特徴の緑川

その訳は、麹米を地元魚沼で契約栽培してもらっている「幻の酒米・北陸12号」を使っていること。そして酒を低温でしっかり貯蔵熟成させてから出荷させていること・・・・・

だから旨いんです。  

新潟中越地震の時は、蔵の仕込み場の天井が落ちるなどさまざまな困難がありましたが今なお方針を変えずしっかりとした酒つくり・ブランドつくりをしています。  

新潟には皆様ご存知の有名な銘柄の酒があります。
是非、名声で選ぶのではなく味で選んでほしいと思います。

柔らかな味わい・食事のおいしさを引き出す酒としてきっとご理解いただけると確信しております。  
新潟の酒としてだけでなく、日本を代表する酒として緑川をおすすめしていきます

5月19日川西屋酒造さんにて利き酒会が開催されました

今回は3つのコーナーに分かれて出品されていました。                                                                                              

     平成20年度(今年度)醸造火入れ                    
     平成19年度(昨年度)醸造火入れ
     平成20年度生
 
DSCN0688.JPG♪ まずは20年度火入れから利いてみます
正直言って全体的にまだ粗さが残ります。
特に若水55(純米吟醸)は硬く、酸もとがった感じでした。
それに比べ美山錦、五百万石は多少落ち着いていますが、やはり渋・苦味を感じます。
阿波山田65(純米)、55(純米吟醸)は結構飲める感じで、特に65は燗でも飲めそうな感じでした。
 
全体的にまだ粗々しい印象ですが、今の時期から飲み易いお酒は熟成も期待できず、逆に劣化の恐れもあるので、ある意味安心といった感じでした。
ちなみに蔵元では飲み頃を迎えるまでは出荷しません。 
 
 
DSCN0684.JPG♪ 次に19年度火入れを利いてみました。
 
まずは若水55(純米吟醸)から
「え~」と思わず声を出したのはパートスタッフの田代さん。

全く同じ造りなのに1年経つとこんなに違う、というのがよくわかったようです。
酸も落ち着いており、舌触りもまろやか、やはり飲むならこっち、といった感じです。
 
続いて五百万石
含み香はメロンのようですが派手ではなく、あくまでも自然な香りです。
美山錦は完売のため無し(当店でも美山錦が最も早く売り切れました)。
 
そして雄町60(特別純米)
私は今回最も気に入りました。
落ち着いてまろやかで燗に向く感じです。(燗で飲めば良かった)同じ雄町でも50(純米吟醸)は香りもあり、味の膨らみも豊かです。
5%の精米の違いで、こうも変わるのか、と精米歩合による味の違いが実感できました。
 
続いて阿波山田55(純米吟醸)
こちらも柔らかく、まろやか。
数字程酸を感じないのは山田錦特有の甘さによるものと思われます。
今まではどちらかというと男性的な力強さを感じていましたが、これは優しい女性的な感じです。
 
最後に阿波山田錦純米大吟醸18年度醸造
明らかに今迄とは違います。
立ち香はあまりありませんが、含み香は酒粕のような香り。
京都から来ていた飲食店さん(ほとんど寝ていないそうです)はこれを燗で利いていました。
これは面白いということで、私もいただきました。
甘さが格段に広がり、温度の違いによる味の違いは歴然、甘口が好きな方に好まれそうな感じでした。
 
♪ 続いて20年度生。
 
 
初めに阿波山田55(純米吟醸)から
とろ~、ねっとりとした舌触り、旨味も豊かで試飲させたら一番受けそうな印象です。
 
雄町50
少々酸を高く感じますが、酢の物など酸のある料理とうまく合いそうな印象です。
 
五百万石50(純米吟醸)
複雑な味わいで様々な味の要素が口の中で絡み合うといった印象です。
 
美山錦55(純米吟醸)
香りも落ち着いていましたが、実は酵母が違うとのこと。
川西屋酒造さんは通常協会9号酵母を使用しています。(発酵力も旺盛で果実のような芳りが特徴。最も多く使われています。)
この美山錦については701号酵母といって花のような香りが特徴です。
 
最後は純米秀峰の燗。
今までは口に含んだのは吐き捨てていましたが、これは無意識のうちに、つい飲んでしまいます。
常温でも旨いが燗にするとパッ~と旨味が花開き、「お米から造られている」ということが本当に実感できます。
ご飯がおかずと相性が合うように、様々な料理に合わせてみたい、と想像が膨らみます。
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今回の利き酒会では、まだ出荷されていない20年度醸造の火入れも利きましたが、やはりまだ飲み頃には早く、多少飲みづらい部分もありましたが、あえて出品する川西屋酒造さんの度量の大きさに、感服いたしました。
 
早い時期に飲み頃を迎えたければ、造りもそれ相応にすれば可能です。
もっと簡単なのは、炭素ろ過を行えば良いだけのこと。それをせずにじっくりと蔵内で熟成させ、しかも味を整えるためのブレンド(通常は新酒と古酒をブレンドして味のばらつきを防ぐ)をせず、ひたすら時が来るのを待つのです。
ほとんどの蔵元は出来上がったお酒を早く出荷することをを望みますが、結果、それが「熟成」の省略を招いているのです。(これには酒税徴収を目的とする国税局の力が働いているという理由もある)
私は経営者ではないので、その苦労はわからないかも知れませんが、小さな蔵が品質重視のために経営のリスクを背負いながら闘っているという事実を、消費者の皆様にもご理解いただければありがたく思います。
 
田邉 太郎
 

 

画像 019.jpg神奈川県西部の山北町、丹沢山系と箱根山の間を流れる酒匂川の上流に蔵は在ります。創業は明治30年、丹沢山系の伏流水(中硬水)を使い、製造量は500石(一升瓶換算5万本)とかなり少なく、人の目の行き届く範囲内で南部杜氏、上川 修氏により丁寧に造られています。吟醸造りを得意としており、低温長期醗酵によりもろみを完全発酵させ、きりっと引き締まった辛口のお酒に仕上がっています。
社長の露木 雅一氏は、食事と共に楽しめ、料理、お酒の両方が引き立てあう「食中酒」造りを目指し、銘酒「隆」を完成させました。
そのお酒の特徴は、香りはいたって穏やかで、きれいな酸が存在することで、味にしっかりとした主張があり、且つ酸で料理の脂肪分を断ち切る、切れの良さを持ち併せています。甘味のある温野菜、脂の乗った魚料理、酸味の効いた寿司、コクのある肉料理、苦味の残る山菜料理など、いわゆる「五味」(甘味、辛味、酸味、苦味、渋味)の中でマイナスとされる要素も見事にプラスに変えてしまう程、相性の良さを見せてくれます。
また、酸があることにより熟成にも耐え、開封後数日経過してから味が乗ってくるなど、少々のことではへたれない腰の強い酒質に仕上がっています。
そして何より、燗で飲むことも奨めています。露木社長は、新たに開業する飲食店さんへ、アドバイス的なこともよくなされるそうですが、「燗で飲むほうが料理との相性の幅が広がり、酒の量も飲めるので儲かるよ」とよく言うそうです。
限定販売の「隆」は無濾過で瓶燗火入れ、瓶囲い貯蔵を行い、異なるタンクとのブレンドは一切行れません。その年のお米の質や気候、また熟成期間により、同じ味はニ度とないそうです。だから造り手側も飲み手側も楽しみが増すわけです。正に、お酒は生き物と言われる所以ですね。
 
画像 020.jpg瓶燗火入れの様子です。1本1本瓶ごと湯煎し、その後冷水で急冷します。
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京都府伏見にある蔵で、桂川沿いにある木造造りの蔵は、観光のビュースポットとしても知られています。

通常は「日出盛」、「桃の滴」といった銘柄で有名ですが、「澤屋まつもとシリーズ」は造りも、流通も全く別で、全国約200店舗の地酒専門店に限定で販売されています。

  

灘の「男酒」に対し、伏見の「女酒」とよく言われていますが、「澤屋まつもと」 はキリッとし辛口のお酒です。

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料理が主役で料理の味を引き立てる「食中酒」としてのお酒のあり方をとても大切に考えられています。

営業担当の松本 庄平氏は業界の中でもプロ級の腕前を持つ料理名人で、伊丹十三監督の映画「たんぽぽ」のモデルにもなったほどです。

氏曰く、「お酒とは毎晩の食事でいう銀シャリ(ご飯)のようなもの。
 
おかずだけでは飽きてしまうし、ご飯だけでは物足りない。
おかずとご飯両方あることでお互いが生きる」とのこと。
上品な出汁の効いたおでんや煮物などと合わせたら美味しさが倍増するようなお酒です。
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和歌山県海南市にある平和酒造さんは、山本 保氏により昭和3年日本酒を製造する蔵として創業しました。

しかし戦争が始まり食料事情が 悪くなるにつれ酒米の確保が難しくなり、国から酒造の休業の命令が下されましたが、戦後になっても酒造再開の許可がなかなか下りず、2代目の山本 保正氏 がそれまで培ってきた経験、技術、想いを無駄にすることはなんとも忍びがたく、何度も国に掛け合い、その熱意が実って昭和25年にようやく酒造業再開の許 可が下りました。


この時、これからずっと平和な世の中が続くよう願いを込めて、平和酒造と社名を命名したそうです。

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梅酒造りは平成7年より始まりました。当時はあまりにもフルーティーな梅酒のためなかなか受け入れてもらえなかったようです。と いうのも当蔵は当初から完熟梅を使用していたのですが、完熟梅は痛みが早く流通には問題があるため一般に市販されている梅酒は青梅が使用されております。

DSCN1728.JPGのサムネール画像しかし青梅はその硬さゆえに梅のエキスが抽出されにく

 

く、長時間漬け込まなければなりません。
そうすると種のなかにある苦味成分まで抽出されてしまい、そ れを砂糖の甘さで抑えているのです。
梅酒を造る蔵は全国にあれど、完熟梅を使用して仕込むのは地元和歌山でなければできないことです

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そして和歌県といえばみかんをはじめ柑橘類などのフルーツの栽培がとても盛んな地域でもあります。
地元の農家さんのお力をお借りして、柚子、檸檬、夏みか んなどを使用したお酒を次々と発売されました。
ここにも「和歌山に根ざした酒造り」が活かされています。
これからも平和酒造さんの挑戦はまだまだ続くで しょう。