府中誉酒造さんに行ってきました
茨城県石岡市にある、府中誉酒造さんに行ってきました。地元が中心の「府中誉」、濾過前取りシリーズでお馴染みの「太平海」、復活栽培米を使用した吟醸酒「渡舟」の3銘柄のお酒を造っています。製造量約500石(一升瓶換算5万本)で小さな蔵元ですが約8割が地元で消費され、県外にはほとんど出荷されていないとのことです。(横浜では当店のみ、川崎でも2件のみです)原料米は地元茨城産の契約栽培米五百万石の他、平成2年より、一度栽培が途絶えた「渡船」(山田錦の親に当たります)を復活させ、山田錦とは違う独特の味を生み出しています。平成8年には全国新酒鑑評会で金賞に輝いていますが、山田錦以外の酒米ではほとんど例がないそうです。平成12年より代表の山内 孝明さんが杜氏として酒造りの責任者となり、茨城の気候、大地、水の恵みを糧に茨城が誇る真の地酒を造り続けています。
縦型精米機です。精米は他社に委託せず、自家で行っております。500石規模の蔵で自社精米はたいへん珍しいとのことです。(コストがかかるのです)
精米歩合(お米を削り落とす割合)にもよりますが、2日から3日かけて精米します。
精米して削り落とした「糠」です。お米の中心部近くまで削るので白いのです。「糠」というより「米粉」ですね。主に煎餅などの米菓の原料として使われます。
酒米を蒸す「甑(こしき)」です。今期は酒米の蒸しは終了しました。
仕込みタンクです。
仕込みタンクの中の醪です。
醪を飲ませていただきました。甘酸っぱく、ピチピチしていてお米の粒もあります。日本酒度でいうと-15位だそうです。この後更に発酵が進むと糖分が分解されてだんだん辛口になっていきます。
「槽場(ふなば)」といって、お酒を搾るところです。ステンレスの箱のようなもが槽(ふね)というもので、この中に袋に入れた醪を積み重ねていき、その重みでしたたり落ちてくるのを集めて酒になるのです。
利き酒もしました。右が渡舟純米大吟醸。絹のような優しく上品な味わいです。真ん中は渡船ふなしぼり純米吟醸。味のが膨らみはこちらが豊か。左は太平海純米おり絡み。まだ瓶詰めされたばかりだそうで、滑らかな舌触りが印象的です。どれもお米本来の旨味をしっかり活かした、存在感のある味わいです。
最後に杜氏の山内 孝明さんと私。熱意のある方ですが、だからからこそ「渡船」の復活栽培も成功したのだと思います。また杜氏制を廃止したことは、それまで短期間で集中的に造っていたので無理が生じていたものを、期間を延ばし、その分ゆとりを持つことができたので、丁寧に造れるようになったとのことでした。お酒のみならず、従業員や取引先、そしてこの茨城への愛着を強く持たれているのがよく伝わりました。これからも美味しいお酒造り続けて下さい。楽しみにしています。