お酒ができるまで 神亀酒造さんにて
2009年3月某日、埼玉県蓮田市の神亀酒造さんへ訪問しました。横浜を朝4時すぎ位に出て、高速道路を飛ばして蔵に着いたのは6時頃。かなり早く着いたつもりでしたが、すでにお米が蒸しあがっているところでした。
蒸しあがった酒米です。阿波(徳島産)山田錦の60%精米(外側40%を削り落とす)で、ひこ孫純米に使用されます。
神亀酒造さんはその昔、「安くて売れる酒を造れ」というお国の言うことを聞かず、当時は高くて売れない純米酒を造り続けました。そのおかげで、お国からは、「神亀のところへはいい酒米はまわすな」、と相当の圧力をかけられ、いわゆる「クズ米」ばかりがまわされてきました。(当時はまだお米は自由に売買できなかったのです)そこである人のつてを伝って、徳島県の吉野川上流域で造られている山田錦を手に入れることができるようになったのです。
お米の蒸しあがりを見ていると、奥から蔵元の小川原専務が来られて、お米を木の板で揉んで「ひねり餅」を造っていただき、「あとで焼いて食え」と言って渡されました。
これがひねり餅!
お米の味が凝縮した感じでこのままでも美味しかったです。
本日蒸されたお米は「麹米」として麹造りに使われ、麹室に運ばれてから、麹菌が振り掛けられます。
麹菌を振りかけてからまんべんなく酒米に行き渡るよう、何回もほぐします。
できあがった麹米
酒母室といって、小さな酒母タンクで酵母を育て 酒母タンクの中です。
ます。
仕込みタンクの全景です。タンクの本数は思ったより少なめです。
仕込みタンクの中の醪の様子。小さな泡がプツプツ沸いています。(画像ではわかりづらいかもしれませんが・・・・)
酒槽といって、お酒を搾るところです。神亀酒造さんでは、圧力をかけず、自然の重みで約3日間かけて搾ります。
醪の入った酒袋をアルミ板の間にはさみ、醪の自重のみでお酒が搾りだされます。
いわゆる「槽口(ふなくち)」で、まさにお酒が搾りだされているところ。
これを直に瓶詰めしたのが「上槽中汲み」という商品名で発売されています。本来であればここで飲んでみたいものですが、今回は車で来たので飲めませんでした。残念・・・。
ストップウォッチを使い、秒単位でお米に水を吸わせます
小川原専務とのツーショット。嫌がるのを無理やり撮らせていただいたので少々ふてくされています。(けっこうかわいかったりします)お忙しいのに丁寧に蔵内を案内していただきました。ありがとうございました。
朝食も頂きました。とても美味しかったです。
ご馳走様でした(満足!)
神亀酒造さんの全景です。
とても酒蔵とは思えません。看板も無ければ門もありません。
今回訪問した際に蒸されていたお米「阿波山田錦60%精米」が使われている、「ひこ孫純米」。
私がお酒に目覚めるきっかけになったお酒です。決して綺麗なお酒ではなく、現代的なお酒でもありませんが、押し寄せてくるようなお米の旨味。主張が感じられるというか、造り手の魂が感じられるというか。良くも悪くも、影響力のあるお酒だと思います。このお酒を冷やで飲んでも、その良さはわからないと思います。
このお酒の一升瓶にかけられている首賭けタグには、「このお酒は人生の機微がわかる35歳以上の人に飲んでもらいたいお酒です」と書かれています。
右の盃に記されているのは、酒造界の生き字引といわれた、故上原 浩さんお言葉です。「酒は純米、燗ならなお良し」このお酒にぴったりのお言葉です。