☆ 燗太郎【田邉】ブログ ☆
投稿日:2009.08.30おじいさんの時代に飲まれていた骨太麦焼酎「麦冠情け嶋」
現在34歳の蔵元、小宮山善友さんが造り5年前に発売された非常に個性豊かな麦焼酎です。
常圧蒸留により、重厚で深みのある味わいを生み出し、旨味でもあり雑味でもあるフーゼル油(蒸留後、貯蔵時に浮いてくる脂分)を網ですくい取り、その加減により味の個性が決まるそうです。
発売当初、「こんな癖のある焼酎売れないよ」と周囲の声は冷ややかなものだったそうですが、小宮山さんが求めていたのはスッキリして飲み易い焼酎ではなく、「おじいさんの時代に飲まれていた骨太で個性豊かな焼酎」だったのです。
小宮山さんも売るのは難しいのは承知していたので、それならばしっかり売ってくれそうな酒販店を一軒一軒自らの足でまわったそうですが、その中の一軒に吉祥が入っていたのです。その時に置いていかれた名刺を頼りに弊社社長坂田が八丈島まで飛んで行きました。坂田の熱意もさることながら、吉祥の店を見ていただいたということもあり、平成20年の秋より取り扱わせていただきました。
もしあの時、小宮山さんが吉祥に来ていただいていなかったら?小宮山さんには頭が下がります。
麦冠を造る小宮山さん(左)と吉祥熊谷店長(右)。八丈島の郷土料理と堪能しました。
日本酒の楽しい訳!
久々の登場、スタッフ田邉です。今回は私が思う、日本酒の楽しい訳をご紹介しましょう。
日本酒は様々な場面で違った表情を見せてくれるのが実に面白いのです。温度、季節、熟成期間、開栓直後と数日後、料理と合わせた時の相性など、これらの条件が異なると、同じお酒であっても、全く違った味わいになります。具体的に説明しましょう。
①温度による違い
お酒に含まれる旨味成分はお米に由来する甘味成分と言えるのですが、甘味は温度の違いによって感じ方も変わり、高くなるにつれて豊かに感じます。(ジュースを温めて飲めばおわかりかと思います)反対に酸味や苦味などの雑味成分は温度の違いによる感じ方の変化は少ないのです。従って相対的に旨味が豊かになって雑味が少ないように感じるため、軽快な味わいになるのです。ちなみに私は専ら燗で飲みますが、まずはじめに常温(又は冷や)で飲んで味を確かめ、そして一気に上燗(50度くらい)まで温めてから少しずつ温度を下げ、ちょうど良い温度を探って飲みます。「これくらいの温度が丁度いいな」というのがわかればそれはそれで楽しいものですよ。
②季節による違い
お酒には本来苦味、渋味といった雑味成分が含まれているものなのです。特に新酒のころはそれが顕著で中にはとても飲めたものではない、というようなものも有ります。しかしある期間熟成させることにより、それらの雑味成分が旨味に変わるのです。(干柿と同じですね)そしてひと夏越して秋風がそよぐ頃、いわゆる「冷やおろし」と呼ばれる時期になると飲み頃を迎え、まろやかな口当たりになるのです。(しかし蔵によっては1年以上、または3年以上熟成させてから出荷するところもあります。)ただし、蔵によっては新酒と古酒をブレンドしたり、または活性炭素ろ過を行い、通年同じ味に保っているところもあります。「このお酒、ちょっと渋いな」と思っても見放さないで下さい。数ヵ月後には見違えているかも知れません。
③熟成期間による違い
これは私が実際に川西屋酒造さんに行って確かめてきました。生酒は通常低温の冷蔵庫で保管されているため、熟成が進まず、違いはわからないかも知れませんが、火入れ(加熱殺菌処理されたもの)は室温で保管されるため、熟成が進むのでその違いは明らかです。そこで蔵にもよりますが、店頭に並ぶお酒が古酒(前年度醸造)から新酒(今年度醸造)に切り替わる時期があります。よくお客様から「味が変わった」というお声をいただきますが、原因の一つにこれがあります。私も時々「いつもと違うな」と思い、裏ラベルを見ると新酒に切り替わっていたことがあとでわかった、ということもあります。「~年度醸造」とか「~BY」とかラベルに書いてあるのもありますので時々注意して見てください。(BYとはブルワリー・イヤーの略)
④開栓直後と開栓数日経過後の違い
よく飲食店さんで聞かれる声として「開栓してしばらくすると気が抜け、酸化するから早く消化しなければならない。商品の回転を良くするため、種類をたくさん置けない」というのが挙げられます。間違いではありません。香りの高い吟醸酒などはそうしなければならないでしょう。しかし以外と知られていなのが、開栓してからのほうがむしろ味が乗ってきて旨くなるお酒もあるのです。強い糖化力を持つしっかりした麹造りをし、強健な酵母を育てた酒母を用いて完全発酵させたお酒は、劣化の原因となる醪の不完全発酵成分(主に残糖)が無いので、少々のことではびくともしません。そしてそのようなタイプのお酒は開栓後、日が経つにつれ見る見る旨くなっていき、最後の一滴まで美味しく飲めるのです。ですから、できましたら一升瓶で購入していただき、その時々でどう味が変わったか、是非楽しんでみてください。きっと「昨日より旨いな~」と感じるはずです。
⑤料理との相性による違い
日本酒には、合わせる料理によっての料理もお酒もともに味を変えてしまう効果も有ります。例えばイカの塩辛のような少し生臭みのあるものと合わせると、その生臭さを旨味に変えてしまいます。新酒のように多少苦味のあるお酒と春の山菜料理をあわせると、お互い苦味のあるものどうしがかえって苦味を和らげてくれます。酸度の高いお酒と酸味の利いた料理(酢のものやいわしの梅煮など)を合わせると、酸が酸を消して酸の中に隠れていた甘味、旨味がより一層引き立ちます。またお酒は発酵してできたものなので、発酵食品とは非常によく合います。味噌、醤油、お酢、などの調味料や糠漬け、塩辛、寿司などお酒なしでは物足りない食材がほとんどですね。決して豪華でなくても結構、毎日の食卓に今夜の晩酌のお供は以外とあるものです。
最後に、よくブログなどでどこかのお店でグラス一杯飲んでお酒の批評をし、そこでそのお酒の評価を下しているのを見ますが、絶対にそのお酒の全てはわからないと思います。最低でも4合瓶、できれば一升瓶を購入し、食事をしながら最後まで飲んでから判断して欲しいものだと思います。
川西屋酒造さんの利き酒会に行ってきました
5月19日川西屋酒造さんにて利き酒会が開催されました♪
今回は3つのコーナーに分かれて出品されていました。
我が地元神奈川の銘酒「丹沢山・隆」の蔵元、川西屋酒造さんのご紹介
京都伏見の地酒、松本酒造さんのご紹介
京都府伏見にある蔵で、桂川沿いにある木造造りの蔵は、観光のビュースポットとしても知られています。
通常は「日出盛」、「桃の滴」といった銘柄で有名ですが、「澤屋まつもとシリーズ」は造りも、流通も全く別で、全国約200店舗の地酒専門店に限定で販売されています。
灘の「男酒」に対し、伏見の「女酒」とよく言われていますが、「澤屋まつもと」 はキリッとし辛口のお酒です。
料理が主役で料理の味を引き立てる「食中酒」としてのお酒のあり方をとても大切に考えられています。
営業担当の松本 庄平氏は業界の中でもプロ級の腕前を持つ料理名人で、伊丹十三監督の映画「たんぽぽ」のモデルにもなったほどです。
おかずとご飯両方あることでお互いが生きる」とのこと。
鹿児島県 田村合名さんのご紹介
純黒、薩摩乃薫り等でおなじみ「田村合名」さんを紹介します。
鹿児島県薩摩半島の南端に位置する指宿市山川町に蔵はあります。
指宿といえば砂蒸し風呂の温泉として知られていますよね。
また薩摩富士の名で有名な開聞岳がそびえたち、景観が素晴らしい観光の町としてにぎわっています。
この休火山の開門岳から出た火山灰が降り積もってできた砂礫層からは良質なさつま芋が採れ田村合名さんは地元の農家の方と協力して芋焼酎用の黄金千貫を栽培しています。
本物のリキュールを造る平和酒造さんのご紹介
和歌山県海南市にある平和酒造さんは、山本 保氏により昭和3年日本酒を製造する蔵として創業しました。
しかし戦争が始まり食料事情が 悪くなるにつれ酒米の確保が難しくなり、国から酒造の休業の命令が下されましたが、戦後になっても酒造再開の許可がなかなか下りず、2代目の山本 保正氏 がそれまで培ってきた経験、技術、想いを無駄にすることはなんとも忍びがたく、何度も国に掛け合い、その熱意が実って昭和25年にようやく酒造業再開の許 可が下りました。
この時、これからずっと平和な世の中が続くよう願いを込めて、平和酒造と社名を命名したそうです。
梅酒造りは平成7年より始まりました。当時はあまりにもフルーティーな梅酒のためなかなか受け入れてもらえなかったようです。と いうのも当蔵は当初から完熟梅を使用していたのですが、完熟梅は痛みが早く流通には問題があるため一般に市販されている梅酒は青梅が使用されております。
しかし青梅はその硬さゆえに梅のエキスが抽出されにく
く、長時間漬け込まなければなりません。
そうすると種のなかにある苦味成分まで抽出されてしまい、そ れを砂糖の甘さで抑えているのです。
梅酒を造る蔵は全国にあれど、完熟梅を使用して仕込むのは地元和歌山でなければできないことです。
そして和歌県といえばみかんをはじめ柑橘類などのフルーツの栽培がとても盛んな地域でもあります。
地元の農家さんのお力をお借りして、柚子、檸檬、夏みか んなどを使用したお酒を次々と発売されました。
ここにも「和歌山に根ざした酒造り」が活かされています。
これからも平和酒造さんの挑戦はまだまだ続くで しょう。