吉祥のスタッフが蔵元を訪ね、酒造りの現場や造り手をご紹介いたします。

壱岐焼酎 重家(おもや)酒造さんを訪ねました

去る5月18日、博多港から1時間、玄界灘に浮かぶ壱岐島を訪れました。ここに壱岐島で最も小さい、「ちんぐ」という麦焼酎を造る、重家酒造さんがありますが、この度吉祥のラインナップに新に加わることになりました。

島に着いたら早速重家酒造の横山 太三さんにお出迎えいただき、蔵に行く途中に麦畑を案内してしていただきました。

DSCN3175.JPGDSCN3173.JPG

 

 

 

 

 

 

 

画像 002.jpg重家酒造の横山 太三さん(右)と私。麦畑の前でパチリ。後ろのちんぐ号で島内を案内していただきました。

商品の名前にもなっている「ちんぐ」という意味は、もともと韓国の言葉で「親友」という意味だそうで、今では島内でも日常的に使われているそうです。(僕達も「ちんぐ」ですね)

 

 

 

 

壱岐焼酎の歴史

ところで、壱岐島は麦焼酎発祥の地でもあります。蒸留酒が日本に伝わったのは東南アジアから琉球を経て薩摩へと、また中国大陸から朝鮮半島を経て壱岐島へ、という2つのルートがありますが、後者のほうが歴史は古く、今から400年前、江戸時代の頃といわれております。島内には弥生時代の遺跡が数多く残り、平地と地下水が豊富なことから古くから稲作が盛んでしたが、江戸時代には厳しい年貢米の取立てにより、米はたいへん貴重なものとなり、米に変わる農産物として米の裏作で麦を作る「二毛作」が発達するようになり、年貢のかからない麦を原料とした麦焼酎が自家用として造られ、飲まれるようになったのが壱岐焼酎の始まりといわれております。

地理的表示の産地指定を受けています

平成7年、壱岐焼酎はWTO(世界貿易機関)から世界が認めるブランドとして「地理的表示の産地指定」を受けました。地理的表示とは、製法や品質が確立された酒類を原産地を指定して世界的に保護する制度で、ワインではボルドー・シャンパーニュ、ウイスキーではバーボン・スコッチ、ブランデーではコニャック・アルマニャック、焼酎では琉球泡盛・球磨焼酎・薩摩焼酎がそれに当たります。

壱岐焼酎の特徴は

①米麹を使うこと。 

②米麹と大麦で仕込むこと。 

③壱岐の水で仕込まれ、壱岐島内で瓶詰めされたもの。

と定義されています。「麦焼酎なのに何故米麹を使うのか」皆さん疑問に思われるかもしれませんね。(私もそうでした)ですがそれは壱岐島の歴史と深い関係があるのです。実は壱岐島は麦焼酎発祥の地でもありますが、もともとは清酒の文化圏でもあるのです。古くから稲作が盛んだったので、清酒も造られていたと考えられています。ですから米麹の製法の技術は古くからあり、米麹を使用したほうが、独特の甘味と厚みのある味わいであることから、米麹で造られてきたようです。

DSCN3182.JPG蔵に着いて早速中を案内していただきました。写真は太三さんのお兄さんで杜氏でもある横山 雄三さん。

明日仕込む麦と米の浸漬といって水を吸わせているところです。昔ながらの木樽の桶を使用しています。

 

 

 

 

 

DSCN3187.JPG麹室です。清酒と同じ箱麹法で造られています。重家酒造さんは、以前は清酒も造っており、免許もあるのでいつか又造ってみたいとおっしゃっていました。(楽しみです)

 

 

 

 

 

 

お兄さんの雄三さんと弟の太三さんは、それぞれ本州の大学へ進学し、サラリーマン生活を過ごしていましたが、今にも潰れそうな蔵を兄弟で建て直そうと島に戻ったそうです。当時、既に壱岐焼酎は地理的産地の認証を受けていましたが、実は当時まで原料の麦はオーストラリア産、麹米用の米はタイ産を使用していました。

地理的産地の指定を受けているのに、外国産の原料を使用するのはおかしい!

疑問に思った兄弟は、地元産の原料の使用に着手しました。当然周囲からは猛反対を受けました。コストは跳ね上がるし、第一引き受けてくれる農家があるのか、という問題がありましたが、一軒一軒農家を訪問して地元産の原料使用の意義を説いてまわりました。

現在壱岐焼酎蔵は島内に8蔵ありますが、重家酒造さんは唯一、地元壱岐産の米・麦を全量使用して造っています。

DSCN3201.JPG

蔵の前で記念撮影。「はい チング」合言葉になっています。

長くなってしまったので、商品のご紹介はまた今度にします。まずは壱岐焼酎を是非よろしくお願いします。

重家酒造さんのホームページはこちら → www.omoyashuzo.com/