酒に惚れ込んだスタッフ(お酒のアトリエ吉祥)たちが醸す一期一会のブログです。

日本酒の辛口について その2

日本酒の辛口について その2

その1を読んでいない方はこちらからどうぞ!

https://jizake-ya.com/blog/takagi/post_235.html

 

 

辛口といわないほうが良いと考える理由

 

日本酒の辛さの基準として思われてきた「日本酒度」

この数値は比重といい、簡単に言うと水より重いか軽いかという判断でしかありません。

水より重い場合は日本酒度はマイナス、逆に軽い場合はプラスとなります。

 

 

仮に微量な成分を除き、重さという面で単純にお酒は水と糖分とアルコールでできていたとします。

それぞれの密度は

水=1g/cm3

アルコールは0.789g/cm3

糖分の有名なものでブドウ糖(グルコース)の密度が1.54g/cm3となります。(4℃において)

 

お酒造りではこのブドウ糖を酵母菌が分解してアルコールにします。

つまり発酵が進めば進むほど密度が低くなり、結果として液体として軽くなります。

これにより、たくさん発酵させてアルコールをバンバン出せば、糖が少なくアルコールが多い→軽い

 

となります。

 

ほら、やっぱり日本酒度で甘辛いがわかるじゃないか!!と思ったそこの貴方!

実は糖分とひとくくりに言ってもいろいろ種類があって、デンプンに近い糖鎖の長いもの(デキストリン)は、甘みを感じないのです。

オリゴ糖やブドウ糖といった細かい単位に分解されて始めて甘みとして感じられる為、これらの組成(比率)が重要なのです。

 

つまり、

デキストリンが多くてブドウ糖が少ない日本酒度が+1のお酒

デキストリンが少なくてブドウ糖が多い日本酒度が+1のお酒

では、同じ日本酒度でも感じる甘さが違ってきてしまうのです。

 

更に言うと、酸のあるお酒だと甘く感じにくくなったり、旨み成分の代表格であるアミノ酸の中にも、甘く感じるものや苦く感じるものなどがあるため、正直数値でお酒の味わいを判断するというのは“目安”程度にはなりますが決めることは出来ないと思っていただいていいでしょう。

 

上記のことが分かると、「辛口のお酒」というと“甘さが少なくアルコール度数の高いもの”というお酒を選びがちになってしまいます。

「辛口」と言うだけで選択肢が狭まってしまうのって凄く勿体無い気がするのです!!

 

辛口のお酒!と言われた方にも、自然な甘さのあるフルーティなお酒を飲んでいただくと「美味しいから買ってく!」と気に入って帰られる方も大勢いらっしゃいます。

 

辛口のお酒で美味しいお酒はたくさんありますが、美味しいお酒が辛口とは限りません。

 

わからない時はぜひいろいろご質問いただければと思います。