酒に惚れ込んだスタッフ(お酒のアトリエ吉祥)たちが醸す一期一会のブログです。

精米歩合について

●精米歩合について

「精米歩合」は、ラベルにも表記される身近な項目のひとつです。

清酒をつくる際、玄米中のお酒の雑味となりうる部分を削り取ることを「米を磨く(精米)」といい、玄米を100%とし磨いて残った割合のことを「精米歩合」と言います。

「米を磨く」ことはお酒の香りや味わいに関わる重要な工程のひとつであり、「精米歩合」は香りや味わいを決める上で重要な指針となります。

精米歩合を表現する時はあまり磨いていないお米を“高い”や“黒い”、磨いたお米を“低い”や“白い”と表現します。

ちなみに、普段「白米」としてみなさんが食べているお米は精米歩合にすると90〜92%くらいと言われています。

 

●なぜ「米を磨く」のか?

玄米の表層(外側)はタンパク質や脂質の含有量が高く、中心部に近づくほど純粋なデンプン質の割合が高くなります。

日本酒の製造工程で使用する酵母や麹などは、タンパク質や脂質があるとそれらも取り込んでしまいます。タンパク質はアミノ酸に分解されると、それらは旨味だけでなく苦味などの雑味をもたらす原因となります。そのため、玄米の表層を削ると、雑味の少ないスッキリとした味わいのお酒になりやすくなるのです。

また、脂質が多いと、酵母が発酵する際にフルーティな吟醸香が作りにくくなってしまったり、タンクやお酒を搾る機械などに油分がついた状態でそのまま放置すると、油が酸化してお酒に好ましくない匂いが移ってしまうため、そういった要因を無くすためにも精米という工程は重要なのですね!

ちなみに、「来福 超精米」などは8%まで磨き上げた贅沢なお酒になっています。一度は飲んでみたい銘柄ですね!

 

 

●磨き落とした部分は?

大吟醸などになると、お米の半分を糠として削り落とします。その削られたものが“糠”と呼ばれるものになります。

一般的には、外側の部分は赤糠として飼料、肥料など、より中心に近い白糠はお煎餅などのお菓子や米粉パンに再利用されます。

 

 

●磨くだけが全てではない?!

これらの理由により玄米の外側を磨く工程は、当たり前のように行われてきましたが、最近では「磨き過ぎるともったいない」「磨きすぎないほうがそのお米の特徴を感じやすい」と考える蔵元もあります。

一般的に、玄米の外側の30%(精米歩合70%)を磨けば、ある程度のタンパク質や(特に)脂質が取り除けます(図1)が、例えば、弊社でも取り扱っている「亀齢(きれい)」、「泉橋 海老名耕地」などのお酒は、外側20%を磨き落とした精米歩合80%のお米で製造されています。

ここでよく聞かれることなのですが、お米を磨かない分安くなるよね?と言われるのですが、実はそうでなかったりもするのです。

当然ながら、同じ玄米の量からでも多いお米で仕込めるので「原料の価格」は少なくなるのですが、上記のようにタンクやお酒を搾る機械についた油の除去や清掃の手間だったり、雑味を少なくしようと(例えば発酵温度を下げるなど)すると今度は酒粕の量が多く(=出来るお酒の量が少なく)なってしまうため、結果的に逆にコストが高くなってしまうこともあるのです。

 

 

精米による成分変化.JPG

図1:精米による成分の変化(酒類総合研究所のHPより引用)

 

そんなところで、今回は精米歩合についてのお話でした!

次回は“特定名称酒”のお話をしたいと思います!