酒に惚れ込んだスタッフ(お酒のアトリエ吉祥)たちが醸す一期一会のブログです。

日本酒 関連ブログ ☆

投稿日:2015.08.29

麹とは?麹菌の種類とは?

そもそも麹(こうじ)とは?

簡単に言っちゃうと
麹→穀物など(デンプン質)に麹菌を繁殖させたもの
です。

麹菌とは、カビの一種。
因みに日本の『国菌』と言われてます

パンなど食べ物に青や黒のカビが生えることがありますよね!

あれと同じなんです
ただその種類が違うだけ

つまり、麹はカビた穀物のことなんですね!
カビと聞いて「えっ?そんなの安全なの?」と思う方もいるかと思います

もちろん、カビの中にも人にとって有益な物(良い奴)と有害な物(悪い奴)がいるので、その有益なカビの中に麹菌がいて、そいつを使ったのが“麹”というわけです。

発酵→人に有益な微生物の作用
腐敗→人に有害な微生物の作用

納豆を発酵と呼び、パンがカビることを腐敗という感じです。つまり麹は発酵食品といえますね

この麹菌は知れば知るほどホント凄いです

お次は麹菌の種類についてお話します

 

まずはお馴染みな?

☆黄麹菌
>主な種:Aspergillus oryzae(アスペルギルス オリゼー)。A.sojae(ソーエ)など

一般的に麹菌といったらオリゼーが挙げられると思いますひらめき電球漫画“もやしもん”のキャラクターにもなっていますね!できた麹が黄色?(胞子は緑っぽい)所から
デンプンの分解力が強い。清酒・味噌・醤油など、日本の発酵食品には欠かせない存在です

☆黒麹菌
>主な種:Aspergillus nigar(アスペルギルス ニガー)など
その名の通り、黒いです。何故かというと、分生子と呼ばれる胞子(子孫を残す“種”、哺乳類でいう卵)が黒い為。黄麹菌と比べるとデンプンの分解力は弱いんですが、タンパク質の分解力が強く、クエン酸を沢山つくるので食べると酸っぱいです。

☆白麹菌
>主な種:Aspergillus kawachii(アスペルギルス カワチ)など
黒麹菌の突然変異株とされてます。kawachiiは河内さんの名前から。性質は黒麹菌と一緒で、色だけ白いと思って下さい。黒麹菌は胞子が飛ぶと服などが黒くなるので、それが無いぶん扱いやすいとされ、現場向きと言われてます。

これは顕微鏡でみたA.nigarの画像です

このマルい粒々が分生子です。
この分生子の色が

緑だと>黄麹菌
黒だと>黒麹菌
白だと>白麹菌

という具合です


この他にもMonascus属の紅(ベニ)麹と呼ばれる主に着色料なんかに用いられているものもあります。

これら麹の使われ方、以前はある程度決まっていましたが、技術が発達した今では様々な用途で用いられています。お酒に関しては一般的に黄麹は清酒醸造に用いられ、黒麹や白麹は焼酎醸造に用いられる傾向があります

なぜ清酒に黄麹が用いられ、焼酎に黒麹が主に用いられるか?ですが
もちろん味というファクターもあります。
しかし今回は微生物学に着目して説明していきたいと思います

キーワードは『微生物汚染』です。専門用語ではコンタミネーション(略してコンタミ)とも言います。

一般的に清酒づくりはいつの時期に行われているかご存知でしょうか?
そう、極寒の冬場ですね!
それはお米が取れるのが9~10月ころということもありますが、低温にすることで雑菌の繁殖を抑えることができるからです。
また、アルコール発酵を行う清酒酵母は比較的低温でも活動することができるので、よりそのリスクを下げる事ができるというわけです。
そして、低温で発酵させる事により酵母も活動は低下しますが、その分死ぬ酵母も少なくなり、雑味の少ない清酒をつくれるというメリットもあります。

一方、焼酎は黒麹
焼酎が有名な地方は九州を筆頭に暖かい気候の地域が多いですね。そんな所で黄麹を使って栄養分のリッチなモロミを造ると、酵母が増殖する前に他の雑菌が繁殖してしまい、造りたいものも造れなくなってしまいます。
そこで黒麹の出番です!
黒麹が作り出す酸(主にクエン酸)により、雑菌が生えにくいモロミを造ることができるのです。なので多少温度が高くても黒麹を用いれば安全に仕込みを行えるという訳です。


もちろん、黄麹でも普通に焼酎は造られますよ
よりきちんと微生物管理を行う(清潔にする等)ことが必要となりますが

…ん?ちょっと待って!だったら暖かい地方で黒麹を使って清酒を仕込めばいいじゃん!?って思いますよね?しかし清酒はそのまま搾るので、酸がたくさんなモロミは製品の味わいに大きく影響してしまいます。もちろん、使い方次第では個性的な味わいに仕上げやすい面もあるます。
ですが、焼酎は蒸留という操作が加わります。クエン酸は不揮発性(蒸発しない)なので、蒸留しても製品に入る事はありません。

そういった意味でも、“使い分け”がされてきたのですね!

だからといって清酒に黒麹を使ってはいけないという事はありません!
現在は製品の幅を広げる為に、清酒でも黒麹や白麹を用いて仕込みを行っている所もでてきています。

気になった方は是非!酒は飲まなきゃわかりませんアップ

因みに、沖縄でつくられる泡盛には、昔から黒麹菌(A.awamorii)がつかわれています。
昔の人が上記の事をわかって仕込みをしていたかは僕は分かりかねますが、にも関わらずここまで使い分けていたとは凄いとしか言えないですね!

って長くなりすぎたのでこの辺で!

投稿日:2015.03.10

清酒(日本酒)の生酒とは?

さて、新酒が次々と入荷してきて、よく目にすると思う言葉のひとつに「生酒(なまざけ)」があると思いますが、「それってなんなの?」「“生”以外にあるの?」「他のとどう違うの?」というお声を頂くことが多いので、簡単にですがお話ししていこうと思います。

~お酒の生って何?~

日本酒には搾ってから殺菌をされていない生のお酒と、火入れ(※)されたお酒があります。 一般的に売られている(常温に置かれている)お酒は火入れされていると思っていただければと思います。マニアックな生酒専門店とかは別ですが(笑)

 

※ 火入れとは?→お酒を加熱殺菌することです。(低温殺菌といい約65℃位まで加熱します) 。加熱殺菌する前のお酒のことを「生酒」といいます。

 

~ 火入れを行う主な理由~

ではなぜ火入れという作業が行われるのでしょうか?それは

・微生物(酵母菌や雑菌)を殺して、腐敗を防ぐ。

・酵素(という物質)を壊して、お酒の品質を安定させる。

 等のために行います。

昔は当然冷蔵庫もなく、お酒も樽(桶)での貯蔵が一般的だったので、雑菌が入ってしまいお酒が腐ることがありました、そこでその雑菌を殺す目的で火入れがされていました。

最近、生酒が多く売られるようになったのは

・衛生的な環境で仕込むことができるようになった

・クール便などの低温で品質を保ちながらの配送が可能になった

・冷蔵庫ができて、低温で管理が出来るようになった

からといえますね。なので、昔は蔵でしか飲めなかったお酒が買える時代となってきたといえます!

 

すごくざっくりですが、お分かりいただけたでしょうか? ちなみに蔵元特約店 KISSYOのお酒は、巨大な冷蔵庫で全部氷温(0~-5℃)で管理していますので、品質はお任せ下さい!

余談で、生物系の方ならご存じとは思いますが「パスツール」という、有名な科学者が低温殺菌という手法を編み出して、風味を損なわずに殺菌ができることを世に知らしめました。 しかし、日本の蔵元さんはそれより300年ほど前からこの方法(火入れ)を行っていたんだそうです。 しかも、温度を測る時には温まったお湯に手を入れて数秒我慢できる位と、感覚を頼りにその方法を導きだしたというのですから、先人の知恵ってすごいですね!!

 

実は、火入れのお酒でも“生”とつくお酒があり、いくつか種類があるので、次回はその違いについてお話ししようと思います!

ではまた!

投稿日:2014.09.10

"冷酒"と"冷や酒""って違うの??

「日本酒を“ひや”で!」「“ひや”で美味しいお酒ある?」
 

この言葉、居酒屋さんとかで聞いたこと、または使ったことのある方もいらっしゃると思いますが
この“ひや”で!って、どの温度帯を指すかご存知ですか??


わかるよー!って方はかなり日本酒が好きなのではないでしょうか!?

わからない!又はこれから楽しみたい!という方は以下をご覧ください!(^^)



日本酒の飲用温度については、大きく3つに分けることができます。

・冷酒(れいしゅ)

冷蔵庫で冷やした、冷たい状態のもの。

・冷や酒(ひやざけ)
常温のもの。
昔は冷蔵庫などもなく、常温かお燗で飲む習慣でした。つまり、お燗していないという意味で“ひや”といいます。

・燗酒(かんざけ)
温めたお酒のこと。

ちょうどこれから季節を迎える秋のお酒「ひやおろし」の“ひや”も、加熱殺菌を行わず、常温で卸すということから「“ひや”おろし(冷卸)」とよばれています。



冷酒にも、燗酒にも、それぞれ温度帯によって細かく呼び方(※下記参照)がありますが、そこまで覚えなくても、「○○度くらいで」だけで、飲み屋さんで注文する時や酒屋さんでのお酒探しには充分ですのでご安心下さい!( ̄▽ ̄)

私も“ひや”の意味を知った時は、試しであえて使ってみたことがありますが、その時はもれなく“冷酒”で出てきました…(°_°)

最近は常に冷蔵庫で管理する所が増えてきたので、中々使う機会もないと思いますが覚えておくと“お!こいつ日本酒知ってるな!”と思われたりするかもしれませんね!(笑)

 

 


余談ですが「冷やし酒」という方法もあり、「いったん人肌程度に燗をしてから、とっくりごと冷水か氷で冷却した酒」というのもあります。こうすると、風味が締まりキュッとお飲みいただけます!

日本酒は同じ銘柄でも、温度によって様々な表情をみせてくれますので、一本のお酒を、是非いろんな温度帯でお試し下さいね!(^^)

 

 

参考までに、このような表現があります

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●冷酒の表現 

みぞれ酒         0度 
雪冷え(ゆきひえ)    5度 
花冷え(はなひえ)   10度 
涼冷え(すずひえ)   15度 
  
●燗の表現 
 
日向燗(ひなたかん)  30度 
人肌燗(ひとはだかん) 35度 
ぬる燗         40度 
上燗(じょうかん)   45度 
熱燗(あつかん)    50度 
飛び切り燗(飛び切りかん)55度以上 
投稿日:2013.10.02

なぜ仲がいいことが「水入らず」なのか?

「夫婦水入らず」「家族水入らず」意味はわかりますよね?
仲がいい、という意味です。

では、なぜ仲がいいということを「水入らず」というのか?

じつはこれが日本式の酒の飲み方に由来しているといわれています

「献杯」や「お流れちょうだい」という言葉を聞いたことがあると思います。
「献杯」とは目下から目上の人に対し自分が飲んだ盃を差し出すことをいいます。
「お流れちょうだい」はこの逆で、目下が目上に盃を要求することをいいます。

いずれにしても、他人が口をつけた盃で酒を飲むという習慣には「親愛の証」といった意味があります。

しかし、その習慣に「杯洗」という儀式が加わりました。
これは、自分が口をつけた盃をそのまま相手に差し出すのは無礼にあたるので、盃を水で洗うというもの。

しかし、受け取る方は「いや、そのままでいい」というのが礼儀でそれによって親愛の情を表そうとしたわけです。
そこで水で洗わない、つまり「水入らず」の
方がより親愛が深まる、という意味から「夫婦水入らず」「家族水入らず」という言葉になっていったのです。
知ってました?

投稿日:2013.09.29

酒母のもうひとつの絶対条件とは?

今回は珍しく日本酒造りに関わる真面目な知識のクイズ。
酒母というのがあります。1に「麹」2に「もと」(もとの字が出てこない・・・)
3に「造り」と言われているほど酒母は重要ですよね。
酒母は雑菌の繁殖を抑え、目的とする酵母菌だけを培養するための工程です。

そのために、まずは酒母の中を強い乳酸酸性にすることで雑菌の繁殖を抑えるわ ですが、この乳酸を自然の乳酸菌から作るか?
それとも人工乳酸菌から作るか?
によって酒母は大きく2つに分けられます。

■人工的の乳酸菌を使う酒母   =【速醸系酒母】速醸もと、高温糖化もと
■自然の乳酸菌を使う酒母    =【生もと系酒母】山廃もと

ここまではみなさんはご存知だと思います。
じつは、酒母には雑菌の繁殖を防ぐために乳酸酸性にすることと、もうひとつ重要な条件があります。
そこで問題。酒母の条件の1つは「乳酸酸性」にすること。

では、もうひとつの雑菌を抑えるための重要な条件とは何でしょうか?

それは、■「濃糖であること!」

これが雑菌の繁殖を防ぐための2つ目の絶対条件です。
糖分が薄いと雑菌は繁殖をします。しかし、糖分が濃いと雑菌は繁殖しません。
例えば、ハチミツや水飴は常温で放置しておいても腐敗しません。
なぜなら、濃糖なので雑菌が繁殖できないからです。

しいていえばもうひとつ「低温であること」くらいでしょう。

したがって酒母の絶対条件は

■強い乳酸酸性であること
■濃糖であること
■低温であること

こうやって酒母の中を一時的に「無菌」の状態にした後に目的の酵母菌を添加し、少しずつ温度を上げていくと、雑菌の繁殖を抑え、目的とする酵母菌だけが繁殖
し、安全な酒母が出来上がっていくのです。


ちなみに九州地方など比較的気温の高い地域の大吟醸の酒母には多くが 高温糖化もとが使われます。
 通常の普通速醸もとは20度で仕込みますが
 高温糖化もとは55度という高温で仕込み始めます。
 この温度は「糖化の適温」
 といわれており、これが「濃糖」という条件を満たします。
 この作業が大変なのは、55度で糖化をした後、いかに一気に温度を下げるか?
 ゆるやかに温度を下げていくと25度あたりで雑菌が繁殖するので、短時間で一気に温度を下げること。
 この作業が大変なのです。

 

 

投稿日:2013.09.21

灘の宮水の意味

名水としてだけでなく、酒造りに最も適した灘の宮水は有名です。
では、なぜ宮水というのか?
酒と宮廷はもともと縁があったから「宮水」となったと思っている人が多いんですが、違います。

宮水の「宮」とは■西宮の「宮」

兵庫県西宮市の「宮」の字をとって宮水といいます。

では、なぜ宮水が名水といわれているかというと「無機質」が多量に含まれているためです。
「リン」「カリウム」「カルシウム」など。こうした無機質はアルコール発酵の際、酵母の働きを活発にし、有害菌の侵入を防いでくれます。

では、なぜ西宮にこのような無機質が多く含まれるのか?

それは、西宮地区の地下にトリ貝の地層があるからと言われています。
したがって西宮神宮や西宮地区の
神社にある湧水は、無機質が大量に含まれたまさに「名水」なのです。

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