酒に惚れ込んだスタッフ(お酒のアトリエ吉祥)たちが醸す一期一会のブログです。

酒母のもうひとつの絶対条件とは?

今回は珍しく日本酒造りに関わる真面目な知識のクイズ。
酒母というのがあります。1に「麹」2に「もと」(もとの字が出てこない・・・)
3に「造り」と言われているほど酒母は重要ですよね。
酒母は雑菌の繁殖を抑え、目的とする酵母菌だけを培養するための工程です。

そのために、まずは酒母の中を強い乳酸酸性にすることで雑菌の繁殖を抑えるわ ですが、この乳酸を自然の乳酸菌から作るか?
それとも人工乳酸菌から作るか?
によって酒母は大きく2つに分けられます。

■人工的の乳酸菌を使う酒母   =【速醸系酒母】速醸もと、高温糖化もと
■自然の乳酸菌を使う酒母    =【生もと系酒母】山廃もと

ここまではみなさんはご存知だと思います。
じつは、酒母には雑菌の繁殖を防ぐために乳酸酸性にすることと、もうひとつ重要な条件があります。
そこで問題。酒母の条件の1つは「乳酸酸性」にすること。

では、もうひとつの雑菌を抑えるための重要な条件とは何でしょうか?

それは、■「濃糖であること!」

これが雑菌の繁殖を防ぐための2つ目の絶対条件です。
糖分が薄いと雑菌は繁殖をします。しかし、糖分が濃いと雑菌は繁殖しません。
例えば、ハチミツや水飴は常温で放置しておいても腐敗しません。
なぜなら、濃糖なので雑菌が繁殖できないからです。

しいていえばもうひとつ「低温であること」くらいでしょう。

したがって酒母の絶対条件は

■強い乳酸酸性であること
■濃糖であること
■低温であること

こうやって酒母の中を一時的に「無菌」の状態にした後に目的の酵母菌を添加し、少しずつ温度を上げていくと、雑菌の繁殖を抑え、目的とする酵母菌だけが繁殖
し、安全な酒母が出来上がっていくのです。


ちなみに九州地方など比較的気温の高い地域の大吟醸の酒母には多くが 高温糖化もとが使われます。
 通常の普通速醸もとは20度で仕込みますが
 高温糖化もとは55度という高温で仕込み始めます。
 この温度は「糖化の適温」
 といわれており、これが「濃糖」という条件を満たします。
 この作業が大変なのは、55度で糖化をした後、いかに一気に温度を下げるか?
 ゆるやかに温度を下げていくと25度あたりで雑菌が繁殖するので、短時間で一気に温度を下げること。
 この作業が大変なのです。

 

 

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